こんなに勉強したのに英語が喋れない

日本の英語教育は変わらない?

中学・高校での英語学習の中身、受験の形態など、英語教育は近年著しく変化しています。
昨年度より中学の英語の教科書の中身ががらっと変わり、単語数がおどろくほど増えました(中学校で学ぶ単語数は1.5倍に!しかも小学校で習う単語数を足すと2200~2500語となります)
最近では、授業にスピーキングが取り入れられるというお知らせも配布されてきました。
ですが蓋をあけてみると、学生たちの勉強の仕方は一向に変わっていません。それどころか暗記する単語が増えただけのように思われます。
スクールを経営する私にとっては頭痛のタネになっています。
なぜ英語を話せる日本人が増えないのでしょうか?

1.受験のための英語学習

近年、中学受験でも英語入試が増えてきています。
当スクールの生徒さんも英検2級を取得したおかげで、英語の試験は免除。あとは国語の試験だけで希望の中学に合格しました。
高校受験においても私立受験においては英検2級を持っているとかなりプラスになります。外部試験を取り入れている私大も増え、高校生たちはみな準1級取得をめざして日々勉強しています。
パソコンでの受験という選択肢も増え、英検を1年間に複数回受験する生徒もいます。保護者の方々からは英検対策をお願いします!と言われます。
先日アメリカ人の友人に英検問題を見せたところ、「この単語使ったこともないし、何のために覚えるの??」と半ば怒り気味に言われました。こんな難しいテストに合格できていても会話になると話せない・・
ならばなぜ皆受験するのか?
昇進試験にTOEICが必要なように、進学に英検が必要なのです。

2.定期テストで忙しい

日本の学生はとにかく忙しい。学校、塾、部活、習い事。終わってもすぐにやってくる定期テスト。定期テスト対策をするのでせいいっぱい。
学校で習った範囲から、教科書の単語や熟語で答えなければならない。
先日、英語の問いに英語で答えてしまった生徒が✖をもらっていた。
英語の問いに、日本語で答えなさい。と書いてあった。
生徒の書いた英文での返答はあっていたのに、日本語で書かなかったので✖だ。なんとなく納得いかない。せめて△でもいいからほしかった。
日本の学生は、日本語に注意しながら英語のテストに答えなければならないのだ。日本文をしっかり読んで、それが現在形なのか進行形なのか日本語から読み取らなければならない。不思議だ。英語を話すときに日本語は出てこないのに。定期テスト対策には、英語で英語を教えることがかえってマイナスに動いてしまうこともある。

3.英語に触れる機会が圧倒的に少ない

「英語に触れる機会=英語だけで過ごす機会」だとしたら、日本人の子供たちは一生の間にどれくらいの時間を過ごしているのだろう?
早い子では0歳児から英語を始める子供もいる。小学校1年生から大学卒業までの間に、週に2回は最低でも英語の学習時間があるだろう。しかし、英語を聞き、英語で答える時間はそのうちのどれだけなのか?おそらく週2回の授業を英語だけで過ごしても、話せるようになれるとは思わない。
昔、あるお母さんが「うちの子は小さい時から週に2回ネイティブのプライベートのレッスンを受けています」と言って娘さんを連れてきた。その子に簡単な英語の絵本を読んでもらい、意味を聞いてみたが、まったく理解していなかった。レッスンで使っていた教科書を見せてもらったら、かなり難しい内容の科学の本だった。聞くところによると、真似して読めればよかったとのこと・・・そこにはコミュニケーションがないように思われた。
その状態で何年やっても意味がない。結局一からやり直しだった。
英語に触れる機会とは、学習した時間数ではない。生きたコミュニケーションを英語でした時間が必要なのです。

4.なんのために英語の勉強するの?

何のために英語を勉強するのか?
おそらく大半の人が将来のためだと答えるだろう。
「将来のためとは?」と聞くと、ほとんどの生徒が「受験のため」「必要だから」と答える。今の環境下で、そのような答えしか出ないのは仕方がないのかもしれない。そして教える私も、彼らの将来のために、いや、受験合格の為に、定期テスト、受験対策をしている。
今まではそのことに抵抗があった。意味ないじゃんって思っていた。
それでも一生懸命勉強している子供達を見て、今彼らに必要なことを提供するのも大切なのではと思い、全力でサポートしている。
ただ、英語だけでコミュニケーションする時間も絶対に作っている。両方をバランスよくやることで、日本語で理解を深め、英語でアウトプットする。
うまくやると、英語でしっかりした内容をディスカッションできるようになるまでになることがわかった。そこまでいけば高校生でも自然に準1級がとれるようになる。将来にも活かせる学び方もできることがわかってきた。
でも英語をなんのために勉強するのかを知ってほしい。
英語は言葉である。言葉とはコミュニケーションのツールであるのだ。

5.英語を勉強したらどんないいことがあるの?

もちろん、大学受験や会社での昇進試験などで英語力を発揮できる。
でも実際に社会に出てみると、海外の企業で働く日本人は数少ない。
外国の企業が、わざわざ英語がネイティブでない日本人を雇用する理由がないからだ。
英語が話せる日本人を必要とするのは、海外に進出している日本企業である。その場合、日本語も英語も堪能でなければならない。
大企業になると、専門的分野においては、現地で通訳がついたりもする。
では、英語力はどこで必要となってくるのか?
それは会議の前後や、仕事の後、その他の場面で英語のコミュニケーションが上手にとれることである。
英語力だけではない。その国の文化や、相手を理解しようとする気持ち。歴史や宗教。それらを理解したうえでの英語でのコミュニケーションである。
英語を使う場面では、英語を使ってコミュニケーションをする相手を理解し、相手からも自分のことを理解してもらうことが必要になってくる。
自分の意見や意志を正確に伝える力もなくてはならない。
その過程で、自分の持つ視野が広がったり、選択肢が広がったり、夢が広がったりするのである。
英語学習をする子供たちには、そこを目標に学んでいってもらいたいものだ。

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